
thumb|200px|right|ダ・ヴィンチが描いた『白貂を抱く貴婦人』のように古くからいろいろな生物が飼育されてきた
ペット(英語:Pet)とは、広義には愛玩を目的として飼育される生物のこと。
一般的には、日常生活で飼育される動物のことを指す。愛玩動物(あいがんどうぶつ)とも呼ばれる。
日本でペットを飼育する者は、動物の虐待の防止や公衆衛生の観点から、「動物の愛護及び管理に関する法律」や「狂犬病予防法」などの法令により定められた義務を負う。
thumb|200px|right|人類のペットに対する執着は、このようなトンガリ耳の珍奇なネコまで作出した
猫科の動物は古代エジプトにおいて神格化されたせいもあって、高貴な身分に相応しい愛玩動物として扱われ、実用的な用途よりも、より今日のペットに近い存在であったとされる。丁寧に埋葬されたネコのミイラも発見されており、同時代に於ける同種動物の地位が如何に高かったかを感じさせる。また農耕文化にも関連して、ネコやイタチ・キツネのような小型動物を捕食する肉食獣を、穀物を食害から守る益獣として珍重していた文化が世界各地に見出され、好んで保護され飼育されていた事情が見られる。今日の米国でも納屋に住み着くネコを「barn cat」と呼び珍重するなどの風習も見られる。
古くは家畜とペットの境界は曖昧で、飼育する側の社会的地位によって、その境界は更に曖昧な物であった。今日では多くの国で愛玩用または訓練して道具として用いられるイヌであるが、日本でも鎌倉時代では一般的な食用動物として見なされており、その風習は江戸時代初期まで続いていた。しかし法令や宗教的な理由から獣肉を食べる習慣が日本では次第に廃れたことから、今日の日本ではイヌを食用と見なす習慣は稀である。しかしそのような過程を経なかった国では、今日でもイヌは、良く増えどんな餌を与えても食べる良い食用家畜とみなされており、殊更イヌを食べる習慣の無い国から、非難・中傷されるなどの社会現象が発生している(犬食文化の項を参照されたし)。
現代の日本の2人以上の世帯においては、48%の世帯が、何かしらのペットを飼っている、という調査結果がある日本ペットフード工業会調査。2007年現在。。
同じく現代の日本(2003年7月時点)における飼育ペットの割合は犬62%、猫29%、魚類11%、鳥類7%(複数回答)となっており内閣府世論調査日本ペットフード工業会調査でも飼育ペットの種類の順位について、内閣府調査と整合性のある結果が出ている。1位 犬。2位 猫。3位 金魚。、ことに鳥類(1981年時点で35%)の減少傾向が目立っている。
日本においては、上述したとおりペットは法律上”物”として扱われるため、相続人にはできない。そこで、「負担付遺贈でペットの世話を条件に、世話人に遺産を相続する」という手法で、飼い主の死後もペットの生活を守る遺言を作成できる『愛するペット困らぬように…行政書士に遺言相談が続々』2008年2月9日付配信 読売新聞。その際、世話人がペットの世話をきちんとするかを監視する遺言執行者をおき、世話をきちんとしない場合には遺産を取り消すようにすれば、「遺産だけもらって世話をしない」といった事態への予防策になる。
これと同時に、珍しい動物を飼いたいという需要もあり、この中には密猟によって捕獲された動物が含まれ、場合によっては飼育には充実した設備を要する物が、安易に密売買されるケースも少なくない。野生のオランウータンはワシントン条約で商取引が禁じられているが、これすら売買していた事例もある。幼い内に親から引き離されペットとして違法に飼われていた個体が再び森に帰れるよう、リハビリを行っている団体もあるが、本来はオランウータンの生態を研究するために生息域にいる研究者のところにこれら個体が持ち込まれ、研究者らが自然環境への復帰作業に動員されてしまい、研究が滞るケースもあるという。また動物園などから珍しい動物が盗難に遭うなどの事件も発生しており、盗んだはいいが飼い方が判らず(情報も無いため)死なせてしまうといった事件も起きている。日本においては2003年にレッサーパンダなどが盗まれ売買された事件も発生している(3ヵ月後に発見され戻された)。
一方、ペットを玩具のように考える飼い主も後を絶たず、その性質に即した飼い方が成されていないケースも少なくはない。中には、偏食の結果として糖尿病などの成人病的症状で通院するものや、過度に愛玩された結果として神経性の円形脱毛症や胃潰瘍に陥るもの、場合によっては飼い主のストレスから鬱憤晴らしに虐待を被るケースまで見られる。
よく懐いている犬の場合、飼い主が与えた餌を食べると飼い主が喜ぶことを犬が理解して、満腹であっても飼い主を喜ばせようと餌を食べる場合が見られる。これらの犬は肥満やそれに絡む健康被害を被ることもあるとされる。肉食性の動物に、菜食主義者の飼い主が野菜を主体とした餌を与えて、適切な消化酵素を持たないこれら肉食のペットが健康被害を被るケースも見られる。
この他、物品のように飽きたから捨てるという事態に至っては、飼い主がこれら動物を野に放ち帰化動物となるなどの問題も、世界各地で発生している。日本では1977年に放映されたテレビアニメーション「あらいぐまラスカル」の影響でアライグマを飼う家庭が出たが、本来非常に気性の荒いこの動物は飼育が難しく、処分に困った飼い主が捨てるケースも発生。一部地域では野生化したアライグマがゴミや農作物を食い荒らすなどの被害も発生している。東京都には野生化したワカケホンセイインコが大量に住み着くなどの現象も確認され、温排水が流れ込む用水路でワニが、路上でカミツキガメが保護されたとするニュースが度々聞かれるなど、芳しくない現象が発生している。
保健所では日常的に保護されたり、飼い主から持ち込まれた犬・猫などの動物が、年間45万匹殺処分されている一方で、ペットショップには珍しい外国産の動物がならぶ。また珍しい・人気がある種類の犬・猫では、ブリーダーが近親交配による繁殖を行うといったケースも報告されている。それらの中には近親交配によって発生した、畸形や遺伝的な異常を持つ個体が販売され、飼い主とペットショップで品質面が問題となって係争されるなどの現象も起こっており、これを憂う向きもある。しかしながら、近親交配は品種改良や品種のスタンダード維持の重要な手段でもあり、一律な禁止は大きな弊害を伴うとされる。
ちなみに、輸入・繁殖が特に難しい動物を除けば、先進国ではペットの生体をなるべく店頭販売しない。一般的な犬猫といった種類のペットでは、他の家庭で生まれたものか、アニマルシェルターと呼ばれる野良犬・野良猫の保護収容施設で貰い受け(譲渡の際に登録が行われる)、これを飼うことが欧米では一般的である。一部地域では、特に凶暴でなくても大型犬の飼育に自治体の許可が必要など、一定の管理を行う流れになりつつあるが、日本でそれらの議論がされることはほとんどない。